バルテュス、これはバルタザール・クロソフスキー・ド・ローラ伯爵のアーティスト名である。ポーランド貴族の血を引き、上流知識階級に属する一族の一員として、1908年、パリに生を受ける。既に13歳の頃には、オーストリアの詩人ライナー・マリア・リルケから将来を嘱望される。ピエール=ジャン・ジューヴ、アントナン・アルトー、ルネ・シャール、ジャコメッティ、ジョルジュ・バタイユ、フェリーニ、アルベール・カミュ、同時代の才能あふれる作家やクリエーターから生涯にわたって賛辞を受け、深い親交で結ばれた。誰もがこの巨匠アーティストの作品に感銘を受け、彼自身のインテリジェンスとパーソナリティに魅了された。
各地に拠点を移しながら、画家としてのキャリアを築く。17歳の時、初めてイタリアと出会い、1961年から1976年には、ローマのヴィラ・メディチ(フランス・アカデミー)館長として再び彼の地に滞在する。1954年から1961年にはフランス・モルヴァン山地に暮らし、その後、孤独と広大さをこよなく愛するバルテュスは、アルプスへと移る。現在は同じく画家である節子夫人とスイスに暮らす。
肖像画、自然や都市の景観、建物内部を描いた風景画、バルテュスの作品は、寸法やテーマ、構図の取り方や厳格さをみる限り、古典的で、クールベやセザンヌのみならず、イタリア初期ルネッサンスにも呼応する画風である。しかしながら、人間や物事の秘事が込められることで、その正統さが変貌を見せる。キャンバスに描かれたシルエットは、まるで一瞬にして魔法をかけられ、永遠に動きを止められたかのよう。思考をくらませるパステルカラーの柔らかさに、女性の肢体に込められたネコのようなエロチズム。ヴェルレーヌがいうところの「意味の揺らめきが確かさと結び合う」空間である。
彼が担当した1993年ムートン・ロスチャイルドには、バルテュスの作品に頻繁に登場するモチーフが描かれている。放心の眼差しの少女の絵である。邪悪さを含む優雅さはかくも儚く。斜に構えた、されど澄み切ったこの作品には、欲望と夢の世界へと誘う魔力が秘められている。
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